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PostgreSQLはINGRESの孫?

PostgreSQLは生粋のオープンソース。ソースコードがオープンなだけでなく、ライセンスもオープンソースソフトウェアでは最もオープンなBSDライセンスである。
PostgreSQLはカリフォルニア大学バークレー(UCB)の研究プロジェクトで開発されたPOSTGRES 4.2から派生した。当時2名の大学院生によって、Mariposa分散データベース管理システムの研究開発のために、POSTGRESを軽量化しSQL準拠にしたpostgres95がリリースされた。このコードをインターネット上の開発グループで引き継ぎ、当初届け出の必要があったバークレーのライセンスを現在の再配布自由なBSDライセンスに緩和する許可を得て、PostgreSQL 6.0として開発が始まった。
PostgreSQLの元になったPOSTGRESは、RDBMS黎明期にUCBで開発されたINGRESの後継プロジェクトとして、新たなパラダイムのもとスクラッチから再開発されたものである。その特徴はオブジェクトリレーショナルというマトリクスの右上方に位置するものであった。オブジェクトリレーショナルについては、Michael Stonebraker et.al. (著), 太田 佳伸 他 (訳)の 「オブジェクトリレーショナルDBMSs」を参考にされたし。
1990年代前半にPOSTGRESの開発プロジェクトは終了し、商用版のILLUSTRAへと発展していった。ILLUSTRA はデータブレードという拡張性の高い仕組みを持っていた。その後 Infomix に買収されて Universal Data Option となり、さらに、Infomix は IBM に買収され、今日に至っている。

INGRESは1970年代のリレーショナルデータベース黎明期に始まった研究開発プロジェクトで1980年代にプロジェクトは終了、商用版のIngresへ引き継がれた。
増永良文氏の著書
「リレーショナルデータベース入門―データモデル・SQL・管理システム」
を一読することをお奨めする。
商用版 Ingres は Ingres-II を経て、オープンソースの Ingres2006へと発展している。

PGCon2007参加報告

5月21〜24日にカナダのオタワで開催されたPGCon2007へ行ってきました。
( http://pgcon.org/2007/ )
最初の2日間はチュートリアル、後の2日間がカンファレンスで、2日間の
カンファレンスに参加しました。

PGCon2007のWebサイトを訪れてスポンサーを見てまず目にするのがUnisys
です。日本Unisysでは米国本社管轄のもとNewDBなるDBクラスターを開発中
だそうです。それから、Google。昨年のSkypeもそうですが、新興のメジャー
カンパニーからの支援が得られることはPostgreSQLの将来への期待が伺え
ます。Afiliasはドメインレジストラの企業連合でドメインの管理にPostgreSQL
を使っていますが、Slony-Iの開発でも有名です。それから、Sun Microsystems
はPostgreSQLをOpenSolaris10にバンドルしています。また、Google社は開催中
ランチボックスを提供してくれて、とても助かりました。

チュートリアルには一足先に弊社石川さんが参加していて、PostgreSQL
ソースコード解説の内容の濃さや、アップテンポでエキサイティングだっ
たチューニングのセッションを聞かされると、参加しておけばよかったと
後悔先に発たずです。

22日はPostgreSQL開発コアチームリーダーでEnterpriseDB社のBruce Momjian氏
による基調公演で始まりました。
"Greate Leaps in PostgreSQL History"と題して、アポロ11号での月面着陸
の記録フィルムを引導に、この11年間のPostgreSQLの開発の歴史をメーリン
グリストの記事から拾い集め、解説を加えたものでした。これは単なる記録
に留まらないという印象を受けました。見出しの摂訳だけでもごらんいただ
ければと思います。

アームストロング船長の言葉
"That's one small step for man
One giant leap for mankind."
ムーンカメラ
14インチテープ
低速スキャン
最初のステップ
ゴッダード宇宙飛行センター

そして27年後。。。1996年
クラッシュ
クリーンアップ
マクロのお化け
さらにマクロに挑む
タイムトラベルにお別れ
NOT NULL 追加の知らせ
ブロックバスター機能
フレキシビリティ
64ビットの神業
NULL&NULL結合でクラッシュ
命名ゲーム
呼びやすいこと
成しえたこと
最適化の魔術
リダイレクト
厄介な問題
作業テーブル - 整合性欠如
8kの行の問題
見えないlztext
ディスクへのfsync
ディスク、ディスク
Cygwinいらず
Win32ロードマップ
Win版開発者マップ
忘れることのないように

すなわち、ひとつの物語であることがわかります。開発者の物語というと
WindowsNT開発チームを率いたカトラー氏の著書邦訳「闘うプログラマー」を
思い出しますが、PostgreSQL開発チームもそれに引けをとらないドラマがあり
ます。オープンソースソフトウェア開発の舞台裏を題材にする物語が本になっ
てもよさそうです。

23日のその後のセッションは3トラック同時開催でしたが、私はユーザー側
の立場から以下のセッションを選択し聴講しました。

"PostgreSQL-IE(Image Extension)" by Denise Guliato(University of Calgary)
"PostgreSQL Partitioning" by Robert Treat(omniti)
"PostgreSQL Replication strategies" by Emmanuel Cecchet(continuent)
"PostgreSQL Inside" by Denis Lussier (EnterpriseDB)
"Advanced PostgreSQL on Windows" by Magunus Hagander(PostgreSQL.org)

今回のカンファレンスのために、オッタワ大学の朝食付きレジデンスに宿泊
し、歩いて数分のSITEという建屋の会場に通いました。レジデンスでは主に
勤労学生がパートタイムで働いていて、そのための要領を得ない部分もあり
普通のホテルのようにはゆきませんが、今回のようなカンファレンスには十
分です。冷蔵庫と電子レンジが備え付けで、部屋には大きな机もあります。
ここの宿泊客用エレベータには2階から5階のボタンがないのは、その学生た
ちの部屋になっているためだろうと想像しました。朝食は毎日同じメニュー
なのでさすがに飽きますが、お腹いっぱい食べられるし、コーヒーも好きな
だけ飲めるので助かりました。

24日は2トラックでした。現在オランダ駐在のSRAの三谷氏のセッション、
弊社OSRIの斉藤氏によるライトニングトーク2本も含まれています。

"Improving Your View" by Joe Conway(CYMER)
"pgsnmpd" by Joshua Tolley(pgsnmpd team)
"PGCluster-II" by Atsushi Mitani(SRA Europa)
"PostgreSQL Lightning Talks", 司会Robert Treat
"SQL Ledger" http://ledgersmb.org
"Looking for Flight Record Archive DBMS", A Person Related FAA?
"PostgreSQL upgrade project", Zdene'k Kotala(Sun Microsystem)
"odbclink", Hiroshi Saito(OSRI, JPUG)
"libpq for Windows-CE", Hiroshi Saito(OSRI, JPUG)
"Stack Builder", Dave Page(EnterpriseDB UK, pgAdmin team)
"Bucard Replicator"
"ClosingSessions" by Dan Langille

クロージングセッションのDanは上手でした。Tシャツや書籍のオークションを
行い、最初に自分のサイン入りTシャツを$20で落札させ、遺失物となっている
ジャケットをかけたりで、始終和やかな雰囲気で終えました。ジャケットの持ち
主も洒落たもので、気がついていながら$50くらいまで余裕を見せるなど、ウィッ
トにとんだ掛け合いを見ることができました。PGConの前の週のBSDConのグッズ
が混じるなど、オープンソースという大きな枠組みでの関係というものを改めて
感じた次第です。

蛇足ですが、25日はカナダ政府から海外各国のPGCon参加者に招待ということで、
パーラメント(国会議事堂)の見学をさせて頂きました。大きな歴史的な建造物の
中に下院、上院の議会室があるだけでなく、素晴らしい彫刻や絵画がたくさんあり、
かつ、戦没者慰霊塔があります。
また、図書館は閑静で空調がしっかりと管理され、まぶしいばかりの照明に照らさ
れた本棚がサークル状に部屋の中を取り囲んでいました。そこに木の香りが立ち込
めていたことが、歴史を大切に保管する気持ちの表れとも感じられ、なんとも感慨
深いものでした。

JUGEMテーマ:コンピュータ


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PGCon2007 カンファレンス2日目

PGCon2007の2日目。少し遅めの10:00(EDT)開始。前日のEnterpriseDB招待ディナーの後、コアな人たちは遅くまで飲んでいたらしい。時差ぼけで苦しむ我々は、早々に帰ったつもりが、すでに深夜。ここでは、夜の暗くなるのがpm9時を過ぎてからなので、いつもの体感時計で動いているとあっという間に深夜になってしまう。それでも、ぐっすり熟睡はできるのだが、朝がまた早い。am4時くらいには明るくなってくるので結局5時くらいには目が覚めてしまう。

なんだか、あわただしい。
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PGCon2007 カンファレンス1日目

21,22とチュートリアルが開かれて、23,24がカンファレンス。先発隊に聞くと、チュートリアルは結構濃く、面白かったそうだった。

カンファレンス1日目は、Bruce Momjian の "Greate Leaps in PostgreSQL History" に始まった。アポロ計画の月面着陸、初歩行を引き合いにして、PostgreSQLの歴史をメーリングリストのアーティクルを引用して語ったもの。カリフォルニア大学バークレー校で開発されたPOSTGRESが現在のPostgreSQLになった経緯、高機能、高信頼性を持つようになるまでのやりとりを赤裸に語った。まさに、彼のこの10年あまりの人生だったことを物語る。
First Moon Landing 1969

残り、3トラックで進められるセッションからは、以下の5つを聴講をした。
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今年のPostgreSQLカンファレンスィズ

昨年の 10周年今年も、PostgreSQL.org のカンファレンスがOttawaで開催される。
5/21,22 にチュートリアル、5/23,24にカンファレンスセッション。オランダからpgclusterの作者(三谷さん)もかけつけて喋る予定。
http://www.pgcon.org/2007/
なんで去年と場所が違うのかというと、おそらく、今年はBSDの好きな人が中心に運営をしているのだろうと思う。なぜなら、その前の週に同じ場所でBSDコンファレンスが開かれていいるから。(確信はないのだが。。。)

さて、日本では、毎年恒例となった JPUG PostgreSQLコンファレンス、今年は秋葉原UDXにおいて3トラックで開催。
http://www.postgresql.jp/news/postgresql30ab30f330d530a130ec30f330b92007
今年はビジネス、ソリューションねたで企業からの講演が多いのが特徴。

個人的にはオークニーさんのPostGISの話題や、さいとうさんの(Windows CE 版クライアントのお披露目があるかも)が楽しみ。

申込方法も、LLのまねをしてローソンチケット。(もっとも、共通のスタッフがいるのでさほど不思議ではない。):
ローソンチケットからの購入(Lコード:32742)
     http://www2.lawsonticket.com/
     (Web、ローソン店頭Loppi端末、電話などで予約・購入可能)

別途懇親会もあって、「宴会君」からの申し込みとなっている。
http://utage.org/enkai/menu.cgi?ENKAI_CODE=jpug07con

JPUGも着々とアウトソーシングが進んでいる感じ。

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