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評価:
レイモンド・チャンドラー
早川書房
¥ 2,000
(2007-03-08)
コメント:チャンドラーの傑作が甦った。マーロウはより身近にいる。
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JUGEMテーマ:
読書
訳者あとがきを読んでいて、数十年前に買った清水俊二訳の文庫本のカバーの青い背表紙を思い出した。高校時代に文学青年と呼ばれていた友人に勧められて買ったものだった。レイモンドチャンドラーは、どこかの大学で米文学の教科書にもとりあげられているらしいということを聞いた。
村上春樹の訳は読み易く、フィリップマーロウという人物をより身近に感じることができた。小説の中の背景が今でもハリウッドあたりにありそうな気がした。
僕にとってはその文学青年はテリーレノックスだった。現実感のない自慢話を幾度となく聞かされ、ときには、弱音を吐いて酔いつぶれる。仕方なく家に担いで帰ったこともあった。ときには、何もできないくせに傲慢だった僕の鼻先をヘシ折り、生意気さだけで持っている実体のないプライドをずたずたにしてくれた。
自分に実力を蓄積することと、その実力を発揮することを、一度にするということは難しいことであるということも教えてくれた。おかげで、ちょっとした冒険も楽しむことができた。ちょうどワンクルーしたところだ。また、蓄積が必要な時期に来ている。
「訳者あとがき 準古典小説としての『ロング・グッドバイ』」を読んでいて、チャンドラーが45歳を過ぎてから小説を書きはじめたということを知った。彼は自分の小説の主人公のマーロウと同じくらいタフだったのだろう。このあとがきを読んで、いくつか、いや、もっとたくさん、気になっていたことがすっきりとした。
最初に読んだ訳本の題名は「長いお別れ」だった。男女の間のことを思わせるおセンチなタイトルだった。
ゆかりの地をいくつか、Google Maps で訪ねてみた…